11,
2007
夫、カイショなし。妻、ノー天気。そんな二人のあったかくておかしくて切なくて心にしみる54のプチ物語。「夕凪の街 桜の国」で手塚治虫文化賞新生賞、文化庁メディア芸術祭大賞を受賞したこうの史代が贈るハートフル・ショートコメディ。
主人公・道は、親同士の酒の席での軽口で見ず知らずの荘介と夫婦にさせられてしまう。
当然断ることもできただろうに、道がむしろ積極的にこの提案に乗った気配が感じられる冒頭は、今の時代に生きる私達にとっては「アリエナーイ!」という感覚。第一の謎。
一方荘介は単純に、道を利用できる存在として妻に迎えたようだ。
貞淑な、楚々とした道を荘介は好まず、夫婦となっても変らず外の派手な女性の元へ通い、仕事も続かない。(性交渉もない。基本的には。笑)
道がそんな荘介の放蕩を受け入れて、妻として坦々と努め、自分が働いたお給料を手渡し微笑んでいる姿が、第二の謎。
恋愛から始まった夫婦じゃないんだから、そこまでする理由なんて全く無いのに。
何かの宗教か?と。
それらの謎は、半分解けたようで、半分は謎のまま。
詳しくは語られない道の過去。
どんな傷、どんな黒いもやもやを抱えていたのか。
ラスト近くにうっすらと差し込む光にほっと息をつく。
道は、自ら望んで罰を受けていたのかもしれない―、と読了後に思った。
…さて。
この感想を読んだ方は、なんと暗いお話なんだろう、と思ったことかと思いますが。
これ、思わずプッと吹き出したり、クスクスしてしまうような笑いに包まれているマンガなんですよ!!
そこがスゴイよなあ〜〜〜っ、と感心しきり。
生活そのもの、人生そのものを描くこうの史代、もっと読みたい!


tariko




以前、レビューにも書いたけど、この装丁から受ける印象で読み始めた人はびっくりしちゃうでしょうね(笑)。
でも、どこかでこの装丁から受ける印象を裏切ってもいないというか。
そこんところが、不思議で、また怖いのです。
いやあ、ホント、侮れない漫画家さんです!
うん、そうですね。怖い!(笑)
道のノー天気は全て確信犯なのかもしれない、とまで思っちゃいましたし。
絵柄と内容のバランスがぶれる、というか揺らぐところが、たまんないんですが、基盤は「温かさ」にあるんでしょうね。
だから裏切られた感じを受けないのかもしれないですね。